マナー講師&グレイヘアモデルの松井直美さん「後に続く女性に“こんな生き方も有る”と示していけたら」

松井直美

上質・上品を目指す女性のためのエレガントマナーを学べる「クラスドコオリナ」を主宰する松井直美さんは、グレイヘアのモデルとしても注目を集めている方です。

グレイヘアに至るまでに幾多の困難があったとのことで、その経緯を教えていただきたく、生い立ちを含めて直美さんに手記にまとめていただきましたので、ぜひご一読ください。

松井直美

小中学校面接対策講座「クラスドコオリナ」
現代の花嫁修業「Koolina Wedding Step」主宰

マナー講師
小笠原流礼法講師
家庭教育アドバイザー

昭和41年(1966)生まれ

経歴

幼少期は、とにかく来客の多い家で育ちました。

朝は運転手が父を迎えに来る、夜は父がお客様を伴って帰ってくる、そんな環境でしたので日頃から服装や礼儀には厳しく育てられました。

また、客人に接する機会も多かったので、小さな頃から人を観察する目も養われていたかもしれません。

「大学卒業後は家事手伝いをして花嫁修業を、そして親の決めた相手と結婚するように」

子供の頃からそう聞かされていたので、自分の将来に疑問を持ちませんでした。

今となっては甚だ時代錯誤ですが、当時はそんな古い慣習もまだ残っていたのです。

そんな訳で大学でも就職活動はしませんでした。

ところが学生課から「大学の就職率が下がるから、ここを受けるように」と商社の求人票を渡され採用試験に行くことに。

そこで倍率30倍だった試験に合格し、会社員として働く事になりました。これが設定されていた既定路線が変わったターニングポイントでした。

それまでアルバイト経験はなかったのですが、働く事は楽しく、パソコンを打ちながら一度に二本の電話をさばくような昭和のモーレツ社員スタイルにも順応。

月末になると残業が深夜まで及ぶハードな職場でしたが、非常にやり甲斐を感じていました。
よく働き、よく遊び、バブル景気を謳歌した時代でした。

結婚後は一転し育児に専念。その間に、礼儀作法とマナーを改めて学び始めました。

子供の頃に「ダメ」と言われていたことが、何故ダメなのか、どんな謂れがあり、現代でどう生かされているのか体系的に学ぶことで、腑に落ちる瞬間の連続でした。

例えばお客様が「つまらないものですが・・」と言って手土産を渡す挨拶に対し、「つまらない物をどうして持って来るの?」と目の前で言ってしまい、親から大目玉を食らった・・という出来事が有るのですが

「あなた様が素晴らしくて、お持ちしたものがつまらなく見えてしまいますが」という謙遜の言葉の省略で有ると知り

それまでの疑問、納得出来ずにいたこと、子供の目に映った謎の大人のふるまい、他者に不快を感じた時の理由が分かり、これまでの様々な謎解きが出来たのです。

この学びで神経質で狭量な私も、他者に寛容になれたと思っています。

人生の最大のピンチ

40歳の頃、接客の楽しさに目覚めました。職場は20代女性だけの受付で「(40代の)あなたが何故ここにいるの?」と冷やかされるのは、会社が決めた人事であるのにという思いと、年を取るのは恥かしい事なのだろうか?と初めて年齢の壁を意識し、必要以上に美容を頑張っていた頃です。

白髪が一本でも見えるのは弱みを見せるようで、美容院でカラーリングのリタッチを繰り返していました。

多い時で2週間に1回のペースでしたので、頭皮にかなりの負担を与えていたと思いますが、何よりリスクに対する知識がなかったのです。

染毛剤に含まれるジアミンという成分にアレルギー反応が出始め、時々アナフィラキシーを起こすようになりました。

それでも華やかな若い職場で白髪を見せる選択肢はなく、ノンジアミンの材料を探しては、職場が変わっても更に10年間白髪を染め続けることになります。

人生最大のピンチ2

実家の父母が亡くなり、重なった過度のストレスから、一時的に声が出せなくなりました。

そして同時にカラーリングはおろか、シャンプーすらも出来なくなりました。帽子もウィッグも被れないほど頭皮が過敏な状態になり、人と会う事を避けるように。

誰よりも白髪を隠す事にこだわっていた自分が、カラーリングが出来ないなんて、と現実を受け入れられませんでした。

それでも頭皮治療に良いと聞けば海外へも出かけ、治療法を探して彷徨った時代です。体内の毒素を排出すれば良いと聞いては湯治へ。

東洋医学病院で漢方薬を、またはアーユルヴェーダ、台湾では薬膳湯を。

腸内を浄化すればいいと聞いてタイ・チェンマイではチネイザンを、時に怪しいサプリメント販売の方に出合うことも有りました。ですが治療の成果はすぐ現れるものでは有りませんでした。

あれだけ人前では身綺麗にしなさいと言われ育った自分が、髪の手入れ一つ出来ないなんて…と途方に暮れていました。

その頃はまだ、外見へのこだわりを捨て切れていなかったのだと思います。

白髪からグレイヘアへ

そんな時、メディアで活躍している素敵なグレイヘアモデルの方の存在を知りました。大胆にもこちらからその方へメッセージを送り、アドバイスを乞いましたら、親身にあれこれと応えて下さいました。

そして紹介して頂いたヘアスタイリストさんも、固定観念で凝り固まった私に様々な髪型を提案してくれ、その時その時に一番似合う髪型を作ってくれました。

それが毎回とても楽しくって。自分がしっかりイメージを固めてカットしてもらうのではなく「全てお任せすること」。相手を信用して委ねることが心地よいと思えるようになりました。

白髪も見せ方次第で、外国人風にも中性的にも見せられるんだ!と、ようやく「白髪」→「グレイヘア」と前向きに変換していくことが出来るようになったのです。

そんな頃に雑誌掲載のお声がかかり、グレイヘアを撮影していただく機会が増えました。何より嬉しかったことは雑誌を見て「(私)松井のようにして欲しい」とオーダーするお客様が増えたと聞いたこと。

当時の私と同じようにカラーが出来ずに悩んでいる方、将来いつまで白髪を染め続けるか悩んでいる方に、「こんな髪型もアリ」とお見せできるロールモデルになれたらと願っています。

後に続く女性のロールモデルに

声が出ない悩みも克服し、昨年「Spotify Podcast」で音声配信番組を開始して1年となりました。

まだ話の途中でつまづいたり言い淀んだりしていますが、もともと周囲から「声を聞いていると眠くなる」と言われていたので「お休み前の眠くなるラジオ」をコンセプトに、軽い話題をポツポツと話しています。

リスナーさんから「寝落ちしちゃった」と言って頂くことが大変励みになっていますし、同世代の女性に共感して頂けるような話題を意識しています。

それから50代後半にしてようやく様々な問題が整って、これまで怒涛の時間を過ごして来た経験を活かして日本古来の礼法と新しい価値観を取り入れたマナーを、より多くの女性にお伝えしていけたらと思っています。

なかなか人生は思うようになりませんが、しなやかに形を変え心を整え、時代の変化に敏感でありたい。

そして後に続く女性に「こんな生き方も有る」と示していけたらと思っております。


直美さん、お忙しい中ありがとうございました。

直美さんはご自身のSNSアカウントでも情報発信されていますので、こちらもぜひご参照ください。

●Koolina公式【上品になりたい全てのかたに】

●Koolina Naomi Matsui(プライベート)

「後に続く女性に“こんな生き方も有る”と示していけたら」と言う直美さんの想いは、当編集部のコンセプトと全く同じですので、これからも直美さんの活動を陰ながらバックアップしていきたいと考えております(50s.online編集部)。

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